日本では、感情を表に出しすぎるのを「大人気ない」ととる傾向があったり、また多くの人にとって感情表現は控えめにするもの、という暗黙の了解があるように思います。
同時に、自分の感情とうまく向き合えなかったり、「コントロールできない」と思っている人は多いです。
まず、はじめに大前提として、感情はコントロールするものではありません。
感情は、自然に湧いてきて感じるものです。
だから、それを感じないようにしたり、また感じている自分を否定したりというのは、不自然なことだということです。
嬉しい、心地いい、楽しい、ウキウキする。
心が痛い、切ない、苦しい、重たい感覚、モヤモヤする・・・。
いろいろあっていいんです。それが人間ですから。
ただし、この感情には種類があるのです。
私は、大きく分けると2つの種類があると思っていて、それは、自然に感覚として発生してきたものと、思考がつれて来たものです。
自然な感覚として発生してきたものというのは、体の感覚とともに感じられるものがわかりやすいです。
お風呂に入ってる時の気持ちいい〜 とか 美味しいもの食べている時の美味しい〜など。
あとは、体が重たくてだるい〜、や、満員電車が嫌で仕事行きたくない〜、もあるかもです。
感情というより、「感覚」に近いですね。
一方、思考が連れてくる感情というのは、その先に発生してくるものです。
たとえば、先ほどの例で言うのなら、お風呂に入っていて気持ちいい〜、と感じたところで今日あった嬉しいことを思い出した。心まであったかくなった・・・これが、思考によるもの。
それと同様に、体が重たくてだるい〜、という時に、昨日むかっときた友達との会話をまた思い出して、さらに気分が塞ぎ込んでしまった。。。これが、思考によるもの。
「昨日むかっときた」友達との会話の時点から、その思考が自分の中に居座っていることになります。
おそらく、むかっときたこと自体も、思考によるものでしょう。
人にはそれぞれ、はまり込みやすい思考パターンというものがあり、それがポジティブなのか、ネガティブなのかによって味わう感情が違ってくるのです。
このように考えると、ほとんどの感情というのは、実は、それをもたらす思考が原因であることが多いです。
感情ではなく、思考をコントロールしよう!
私がイタリアにいたことがあるのは、このブログでも何度か書いていますが、イタリア人の感情表現がとてもわかりやすいのは、よく言われているイメージの通りだと思います。
嬉しい時は全身でそれを表すし、怒っているときは周りも気にせず表現します。
興味関心がないとき、相手の話に退屈している時なども、日本人から見たら失礼だな、と思うくらいそれが表情から一目瞭然だったり・・・(笑)。
日本人の「大人の節度」からすると、このようなイタリア人の感情表現は、とても子供っぽく見えることが多いと思います。
ただですね、心の土台が安定している度合いという意味で言うなら、イタリア人に軍杯が上がると言うのが、私の意見です。
自分のしていることや、取り組んでいることを楽しんでいる。
家族、友人を心から大切に思い、良い信頼関係を築けている。
そして、人生に満足している。
多くのイタリア人は、上記の点ではYESなのではないかな、と思うのです。
お金や生活状況に関係なく、です。
もちろん、イタリア人だってネガティブになることもあるし、文句なんてしょっちゅう言っていると思います。
特に、日本では考えられないくらい国のシステムとか、経済、社会のあり方という意味では信用できないことが多いので、その点では文句も言いたくなるでしょう。
ですが、イタリア人が総じてネアカで、人生を愛する心の土台をもてているその理由には、感情をあるがままに受け入れて、それを感じきっていることや、しっかり表現していることが大きな要因だと私は思います。
感情が湧いてきた時に感じて表現できると、奥に溜まったり根深いものとしては残りにくくなるんですね。
だから、よく言われる、感情的になることは良くないとか、大人気ない、ということに関しては、
「自然発生した感情は、むしろ日本人はもっともっと素直に感じて表現するべき」だと私は考えています。
そして、イタリア人がネアカである理由の一番の大きな要因というのは、思考がポジティブであること。
ここがポイントで、つまり、たとえ自然発生した感情が一時はネガティブなものであっても、その後割とすぐに、思考でもってポジティブに変換できている人が多いのです。
つまり、大切なことは、コントロールすべきは感情なのではなく、思考ですよ、ということ。
多くの日本人は、まず感情を抑えようとしてしまうため、そこでまず抑圧という方向に行ってしまってストレスがかかってしまう場合が多いです。
そしてその後、感情を抑え込んだ結果でもあるのですが、思考が強く働いて、いろいろとそのことに対しての解釈が入り、もともとネガティブだった感情に、さらにそれを強化するネガティブな思考で次のネガティブ感情が生み出されてしまうのです。
あるいは、場合によっては思考は当たり障りのない、「正しい」ものに落とし込んでいるのに、感情がついていかず、モヤモヤする・・・・っていうケースも多いかもしれません。
いずれにしても、最初に感じて抑え込んだネガティブ感情は未消化のまま、抑圧されたキケンなもの、として残っていくことになります。
そして、思考にはパターンがあり、ネガティブなパターンが根強く癖になってしまっている人は本当に多いのです。
思考によってネガティブな感情はどんどん湧いてくるのに、それをますます抑え込まなくてはならないため(はじめに抑え込んだところから、このスパイラルは始まっています)、時間と共に苦しくなってくるのは当然です。
では、思考はどのようにコントロールするのか?
それは、ポジティブなものの見方をいつもできるように、訓練するしかありません。
できたら、そういう思考パターンをもつ人のそばにいて、その人の言葉を聞いたり、考え方を真似ていくのがとても効果的だと思います。
私はこれを実践して、本当に自分が変わりました。
そして、強調しておきますが、感情は無理に抑え込まないこと!
イタリア人ほどではなくても、ちゃんと感じて言葉にして、表現できた方が、心の健康は保てるので、上手に表現することも練習しましょう。
まとめ
個人的な意見では、感情を表現できる大人って私は可愛いと思っています
もちろん、それが、思考がつれてきた屁理屈とか、卑屈なものの見方で感情的にヒステリックになるようなのは・・・誰にとっても迷惑なのは、古今東西同じです。
そうではなくて、第一の自然発生の感情を素直に出すのは、子供と同じ反応だということ。
嬉しい!美味しい!!楽しい!!!を表現している人って、魅力的だと思いませんか?!
もちろん、その逆もありでいいのです。
ぜひ、第一の感情はしっかり感じて、次の思考によるぐるぐるを緩め(感情を感じた方が思考は緩みます)、そして起きた出来事に対する解釈はポジティブになるよう、思考をコントロールしていきましょう。
この思考のコントロールは、幼い頃の環境などから自然にできている人を除き、訓練が必要ですので、サポートが必要な方はぜひ、ご相談ください